ルーツ貿易創業50周年企画 インポーターの視点からふりかえる洋菓子50年 第2回 後編
2026/05/20
神奈川・鎌倉「パティスリーM I WA」三輪壽人男シェフ

三輪:大阪での講習会の時、間違えて大量に焼いてしまったマドレーヌを並べておいたら、受講者が持ち帰り、1個も残らなかった、なんてこともありましたね。
白根:「これはいける!」と思ったんでしょうね。それまで洋菓子店の商品構成は冷蔵ケースの生ケーキが主体でしたから、売れ行きが季節や天候に左右されるし、日々変動が大きかった。そこで私たちは、焼き菓子の存在感を高めて、もっと贈答でも使われるようになったら、店の売上の底支えになるのではないかと考えた。マジパンローマッセの活用には、洋菓子店における焼き菓子の位置付けや構成比率を上げる狙いもありました。
三輪:マジパンローマッセは使い方を覚えると、様々な効果が期待できる素材です。マドレーヌやパウンドケーキ、ケーキの土台となる生地においても、材料の一部に使うことで、気泡が細かく壊れにくくなり、生地の構造が安定する。何より焼き上がりに日本人好みのしっとり感が生まれます。香りの広がりも見逃せません。たとえば、生地にフィグなどのフルーツを加えると、その香りが生地全体によく広がるんです。私の場合、お酒を使うお菓子が多いのですが、マジパンローマッセを使った生地はお酒をしっかり抱え込んで、香りを効果的に演出してくれます。
白根:一般的なマジパンは、アーモンドと砂糖の比率が1:1なのに対して、マジパンローマッセは2:1。アーモンドの量が多い。
三輪:しかもリューベッカは良いアーモンドを厳選していますよね。
白根:1904年創業で、もう120年以上、製法を変えることなく無添加・無着色で作っています。現存するマジパン製造販売メーカーの中では、リューベッカが唯一、伝統的製法で生産しているんですよ。振り返ってみれば、1978年にルーツ貿易を創業して、最初に扱い始めた商材がリューベッカのマジパンローマッセでした。高品質な素材のメーカーが最初の仕入れ先だったことはラッキーだったと思います。
白根:そうですね。機械は1台あたりの金額は大きいけれど、一度購入すると買い替えまでのスパンが長い。そこで、パティスリーとの関係性を継続的に保つため、次第に素材に力を入れるようになりました。シェフたちから「こんな素材が欲しい」「こういった素材はないか」とリクエストが寄せられたことも大きかったですね。
三輪:菓子作りは素材から始まると思うんですよ。素材との出会いによって、どんなお菓子に仕立てようかと突き動かされる。ルーツさんのようなインポーターからの働きかけは大事です。鎌倉には個性的なお客様が多くて、お客様が海外旅行先で出会っためずらしいお酒を届けてくださることもあります。
白根:三輪シェフなら使いこなせる、きっとおいしいお菓子に仕立ててくれると思うのでしょう。
三輪:最近の若いパティシエの菓子作りを見ていると、見栄え優先になってきているように感じられて、残念ですし、心配です。
白根:フレッシュケーキ、ボンボン・ショコラ、焼き菓子、ヴィエノワズリーと、今も幅広くお作りになられていて、すばらしい。
三輪:フランス菓子ともドイツ菓子とも名乗らず、”三輪の菓子“として作っています。レ・ザンジュ時代には定番を置かず、毎日のようにラインナップを変えていたので、「昨日買ったあのお菓子が食べたいのに、どうして今日は作らないのか?」とクレームが寄せられたこともありました(笑)。試作に取り掛かるまでに配合を7、8回は練り直して、さらに作りながら配合の調整を重ねていく中で出来上がる。それが楽しいんです。
白根:だから、オリジナリティの高いお菓子ができるんですね。

こだわりの素材が菓子の進化を促す

日本の洋菓子が本格化していく背景には、アーモンドやマジパンなど、本場・欧州で多用されている素材を使いこなす技術の広がりがありました。
三輪壽人男シェフは、技術の浸透に貢献した一人。素材を探求し、素材から発想するアプローチが、日本のパティスリーを大きく前進させてきました。
焼き菓子で洋菓子店の売上を底支えしよう
白根:三輪シェフには、レ・ザンジュ時代に、リューベッカのマジパンローマッセの講習会の講師をお願いしました。マドレーヌやパウンドケーキの生地にマジパンローマッセを加えると、焼き上がりがしっとりして日持ちもいいことを広めたくて。あの頃、何度も講習会を開いていました。三輪:大阪での講習会の時、間違えて大量に焼いてしまったマドレーヌを並べておいたら、受講者が持ち帰り、1個も残らなかった、なんてこともありましたね。
白根:「これはいける!」と思ったんでしょうね。それまで洋菓子店の商品構成は冷蔵ケースの生ケーキが主体でしたから、売れ行きが季節や天候に左右されるし、日々変動が大きかった。そこで私たちは、焼き菓子の存在感を高めて、もっと贈答でも使われるようになったら、店の売上の底支えになるのではないかと考えた。マジパンローマッセの活用には、洋菓子店における焼き菓子の位置付けや構成比率を上げる狙いもありました。
三輪:マジパンローマッセは使い方を覚えると、様々な効果が期待できる素材です。マドレーヌやパウンドケーキ、ケーキの土台となる生地においても、材料の一部に使うことで、気泡が細かく壊れにくくなり、生地の構造が安定する。何より焼き上がりに日本人好みのしっとり感が生まれます。香りの広がりも見逃せません。たとえば、生地にフィグなどのフルーツを加えると、その香りが生地全体によく広がるんです。私の場合、お酒を使うお菓子が多いのですが、マジパンローマッセを使った生地はお酒をしっかり抱え込んで、香りを効果的に演出してくれます。
白根:一般的なマジパンは、アーモンドと砂糖の比率が1:1なのに対して、マジパンローマッセは2:1。アーモンドの量が多い。
三輪:しかもリューベッカは良いアーモンドを厳選していますよね。
白根:1904年創業で、もう120年以上、製法を変えることなく無添加・無着色で作っています。現存するマジパン製造販売メーカーの中では、リューベッカが唯一、伝統的製法で生産しているんですよ。振り返ってみれば、1978年にルーツ貿易を創業して、最初に扱い始めた商材がリューベッカのマジパンローマッセでした。高品質な素材のメーカーが最初の仕入れ先だったことはラッキーだったと思います。
素材から発想する菓子作り
三輪:ルーツさんが扱う商材は、創業からしばらくの間、機械や道具類が多かったですね。そんな中でマジパンローマッセは数少ない製菓素材だった。白根:そうですね。機械は1台あたりの金額は大きいけれど、一度購入すると買い替えまでのスパンが長い。そこで、パティスリーとの関係性を継続的に保つため、次第に素材に力を入れるようになりました。シェフたちから「こんな素材が欲しい」「こういった素材はないか」とリクエストが寄せられたことも大きかったですね。
三輪:菓子作りは素材から始まると思うんですよ。素材との出会いによって、どんなお菓子に仕立てようかと突き動かされる。ルーツさんのようなインポーターからの働きかけは大事です。鎌倉には個性的なお客様が多くて、お客様が海外旅行先で出会っためずらしいお酒を届けてくださることもあります。
白根:三輪シェフなら使いこなせる、きっとおいしいお菓子に仕立ててくれると思うのでしょう。
三輪:最近の若いパティシエの菓子作りを見ていると、見栄え優先になってきているように感じられて、残念ですし、心配です。
白根:フレッシュケーキ、ボンボン・ショコラ、焼き菓子、ヴィエノワズリーと、今も幅広くお作りになられていて、すばらしい。
三輪:フランス菓子ともドイツ菓子とも名乗らず、”三輪の菓子“として作っています。レ・ザンジュ時代には定番を置かず、毎日のようにラインナップを変えていたので、「昨日買ったあのお菓子が食べたいのに、どうして今日は作らないのか?」とクレームが寄せられたこともありました(笑)。試作に取り掛かるまでに配合を7、8回は練り直して、さらに作りながら配合の調整を重ねていく中で出来上がる。それが楽しいんです。
白根:だから、オリジナリティの高いお菓子ができるんですね。

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